「あたしこっちなんで」
途中、奈緒が武史に言った。
奈緒のうちの方向じゃない事に気づいた様子の梓に
奈緒はアイコンタクトをした。
…気つかってる
ごめんね、奈緒…
『そっちじゃないでしょ?』
と奈緒を明るく止めることが出来なくて
梓はそんな自分が許せなかった。
…こんなのあたしらしくない。
一歩踏み出すって昨日決めたんだから…
「梓ちゃん、どっか寄ってく?」
明るい笑顔を向ける武史に
梓は少し微笑んでうなづいた。
「近くに公園があるんで…
ちょっと寄っていきませんか?」
梓が案内した公園は5分も歩かない場所にあった。
「公園なんて久しぶりだなぁ。
ブランコとかちっちぇ(笑)」
少しはしゃぎ気味の武史と
ブランコに座る。
子供に合わせた高さは
梓達には低すぎて少し乗り難かった。
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