奈緒を見つめる関先輩に気づいたのは
体育祭のリレー練習の時。
桜木先輩の隣で
真剣に奈緒を見つめる関先輩が気になった。
でも、その時は少し不思議に思っただけ。
二度目は体育祭当日。
桜木先輩にハチマキを渡しに行った奈緒を見る目が…
やっぱり切なそうで…
その時、少しだけ
『あの人奈緒の事好きなのかな…』って思ったんだ。
だけど、奈緒は桜木先輩と付き合ってるし
あたしも関先輩のこと知らなかったから…
だけど…
もし本当に先輩が奈緒の事好きだったら?
あたしは…
「梓?
どうしたの?」
隣の奈緒が黙り込んだ梓を覗き込んでいた。
「え…あ、なんでもない」
「腹へった?
なんか食べていこっか?」
「いえ、大丈夫です。
昨日あんまりよく眠れなくて…」
武史を見る目が泳いでしまったことに気づき
梓は目をそらした。
だって…
本当に奈緒が好きだったら
あたしなんか適わない…
武史と奈緒の間に自分がいてはいけない気がして
なんだか居心地が悪かった。
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