奈緒が屋上の『立ち入り禁止』のプレートを潜り抜けた時…
開けっ放しになっていた屋上のドアから
話し声が漏れてきた。
女の子の声に奈緒の足が止まって…
息を整えながらそぉっと屋上を覗く。
「ねぇ、いいじゃん。
水谷さん仕事中でしょ?」
「そうそう、メイド喫茶とかいって(笑)
男嫌いとかいいながら結局は競争率の一番高い亮捕まえて
あんな格好して男寄せ集めてんだからやんなっちゃうよねぇ」
自分の悪口に奈緒が少しむっとしながら覗き込む。
屋上には3人の女子生徒と
その真ん中でつまらなそうに空を仰ぐ亮の姿があった。
…山本さん?
見覚えのあるメイド服に奈緒が顔を歪める。
自分と同じメイド服を着た女子生徒は間違いなく山本で…
奈緒がこっそり見つめる先で
山本が口を開いた。
「桜木先輩、一緒に回りましょうよ。
ここにいても寒いしつまらないですよ?」
一向に口を開こうとも目を合わせようともしない亮に山本が近づく。
「…私、慰めますよ?
退学になって傷付いてるんですよね…?」
そう言って…
山本が亮の肩に触れようとした時…
「ダメっ!!」
子供みたいな言葉を言いながら
奈緒が飛び出した。
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