「行くあてもないのになんで…っ…。」
「だってどこかに行きたいわけじゃないでしょ?俺も綾瀬さんも。
しいて言えば、泣き場所的な場所に行きたいわけですよ。」
「それはそうだけど…っ!」
「でもそんな場所は今のところ俺にはないし、綾瀬さんにもない。違いますか?」
「違いませんけど!」
「ないなら作ればいいんです。
というわけで適当に走りますから、もういいやってくらい泣いたらそう言ってください。そこで止めます。」
「…なにそれ…。」
「思いつきです。なんか綾瀬さんに話したら少しすっきりしたんで、俺も泣いて全て流しちゃおうかなって。」
「向坂も…泣く…?」
「俺も泣きます。だから綾瀬さんも思いっきりどうぞ。
とりあえず乗ってください。行きますよ?」
俺がチャリに跨ると、綾瀬さんがおずおずと近付いた。
「…重いけど大丈夫?」
「俺の筋力ナメないでください。」
「ナメてないけど…。」
後ろにちょっとだけ重みがかかる。
…よし、乗ったな。
「行きますよー。」
「あんまスピード出さないでよ?」
「分かってますって。」
それ以上、言葉は返って来なかった。
それに俺だって返せなかった。
「だってどこかに行きたいわけじゃないでしょ?俺も綾瀬さんも。
しいて言えば、泣き場所的な場所に行きたいわけですよ。」
「それはそうだけど…っ!」
「でもそんな場所は今のところ俺にはないし、綾瀬さんにもない。違いますか?」
「違いませんけど!」
「ないなら作ればいいんです。
というわけで適当に走りますから、もういいやってくらい泣いたらそう言ってください。そこで止めます。」
「…なにそれ…。」
「思いつきです。なんか綾瀬さんに話したら少しすっきりしたんで、俺も泣いて全て流しちゃおうかなって。」
「向坂も…泣く…?」
「俺も泣きます。だから綾瀬さんも思いっきりどうぞ。
とりあえず乗ってください。行きますよ?」
俺がチャリに跨ると、綾瀬さんがおずおずと近付いた。
「…重いけど大丈夫?」
「俺の筋力ナメないでください。」
「ナメてないけど…。」
後ろにちょっとだけ重みがかかる。
…よし、乗ったな。
「行きますよー。」
「あんまスピード出さないでよ?」
「分かってますって。」
それ以上、言葉は返って来なかった。
それに俺だって返せなかった。



