「…すいません。ちょっと休んだらちゃんとやりますから。」
「それ、もう8回くらい聞いたんだけど?」
「じゃあ俺、8回も綾瀬さんに叱られたんですね。」
「あんたが8回も叱られるようなことしたからよ。」
「正論です。」
綾瀬さんは、正しいことしか言わない。
でも逃がしてくれないほどに追い詰めてくることは絶対にしない。
引き際を上手く心得ていて、絶対に踏み込んでほしくないところにまでは踏み込んでこない。
「ま、人生山あり谷ありだから、向坂にも色々あるんだろうけど…。
こっちはお金貰ってるわけだしね。労働の対価として。
だからお金分の労働はちゃんと提供しなきゃダメよ。
そこに私情を挟んでお客様を困らせたらプロじゃないわ。」
「…本屋にプロとかあるんですか?」
「本屋にプロがあるとかないとかそういう話じゃなくて!
労働というものに対する意識の問題!
とりあえず、少し頭冷やしな。
これ、あげるから。」
「え…?」
目の前に差し出されたのはサイダー。
…確かに少し目は覚めるかもしれない。
「ありがとうございます。」
「素直でよろしい!
飲み終わったら勤務戻りな。」
「…はい。」
綾瀬さんがいなくなってから、ペットボトルのキャップを開けた。
プシュっと音がして、少しだけ炭酸が抜けた。
「それ、もう8回くらい聞いたんだけど?」
「じゃあ俺、8回も綾瀬さんに叱られたんですね。」
「あんたが8回も叱られるようなことしたからよ。」
「正論です。」
綾瀬さんは、正しいことしか言わない。
でも逃がしてくれないほどに追い詰めてくることは絶対にしない。
引き際を上手く心得ていて、絶対に踏み込んでほしくないところにまでは踏み込んでこない。
「ま、人生山あり谷ありだから、向坂にも色々あるんだろうけど…。
こっちはお金貰ってるわけだしね。労働の対価として。
だからお金分の労働はちゃんと提供しなきゃダメよ。
そこに私情を挟んでお客様を困らせたらプロじゃないわ。」
「…本屋にプロとかあるんですか?」
「本屋にプロがあるとかないとかそういう話じゃなくて!
労働というものに対する意識の問題!
とりあえず、少し頭冷やしな。
これ、あげるから。」
「え…?」
目の前に差し出されたのはサイダー。
…確かに少し目は覚めるかもしれない。
「ありがとうございます。」
「素直でよろしい!
飲み終わったら勤務戻りな。」
「…はい。」
綾瀬さんがいなくなってから、ペットボトルのキャップを開けた。
プシュっと音がして、少しだけ炭酸が抜けた。



