突然すぎて明らかに不自然だった。 だが小山は、焦る自分を制御することができなかった。 (あそこは、桜木和子と会った店だ…) 千晶や萌の行きつけの店ということも、小山はもちろん知っていた。 だからこそ今、萌と一緒に入ってはいけない。 あの日のことは、短時間だったから、まさか店員も覚えてはいないと思う。 それでも、 (念には念を、だ) 「えっちょっと、小山さん待って!」 萌が慌てて小山の後を追いかける。 そんなふたりの様子を、ガラス扉の店の中から、ひとりの店員が見ていた。