「土方さん…。」


そっと呟いた。

あの廊下の向こうに土方さんがいる。

どうして……。


「遥?どうした?」

「総司。」

「土方さんか?」

「え、なんでもないよ。」


なんて誤魔化した。

けれど総司の目はアタシの心を見据えているようだった。


「そんなに気になるのかよ。」

「別にそんなわけじゃ…。」


急に総司の言い方が強くなったかと思うと「ごめん。」と謝ってきた。

嫌な沈黙。

何を話せばいいのか…。





ギシッギシッ…ギシッ…。




誰かが廊下を歩いてくる音が聞こえた。