あたしは、もう…、走れないんだ。 もう、あの風を感じることもできない。 グラウンドを蹴る足も、 みんなからの歓声も。 味わうことができない。 ――あたしはこの時知ったんだ。 大切なものを失う時ら、どれだけ辛いか。 あたしは決心した。 もう、大切なものを作るのを止めようと。 大切なもの…を手放していこうと。 そしたら…死ぬときも辛くないはず。