メモリー

『…そういえば、前田はなんでクラス来ないの??

担任が心配してるよ。
みんなイイ奴だし…、

きてみたら??』



沈黙が怖くって。

自分から、なにか新しい話題を出せるほど、俺は強くなくて。



とにかく話題を作ろうと口走ったのは、さっき担任から言われた言葉。




そんな俺の言葉に、前田は何も言わずに、ただにっこり笑うだけだった。




「……。」



知らなかったんだ、俺は。



この笑顔の裏側なんて。



ただ、見たままの前田の姿を、本物だとばかり考えていた。