「笑ちゃんに、ちょっと意地悪しちゃおうかなぁっと思って。」



その言葉を聞いたとたん、頭に血がのぼったのを感じた。



気づいたら俺は加藤の胸ぐらをつかんでいて。


ちょっと加藤が驚いたような表情を見せていた。



『…おい!!テメー、ふざけんな!!!!』



冷静さなんて、失っていた。


むしろ、この時の俺には『冷静』なんて言葉はない。



…ったく、加藤は…

どれだけ汚い女なんだ。



「…それ、やめた方がいいよ??
みんな見てるし。」



思ったより落ち着いている加藤の言葉で、ハッと我に返る。


廊下を歩く生徒たちが、俺を批判のまなざしでみていた。



…やっべぇ。我を忘れた。


俺は慌てて、加藤の胸ぐらを掴んでいた手を離した。