玄関のドアを開けた。 鍵を閉めていると、隣からドアの開く音がした。 隣の家から出るのは、あたしの幼なじみであって愛しい人。 「おはよ。」 あたしは笑顔を向ける。 今日は卒業式で、ピアスをしていない姿が珍しかった。 「はよ。」 短い挨拶と欠伸が返ってくる。 あたしは彼の隣に並んで歩いた。 「…葉介。」 「あ?」 「手繋ご。」 「絶対しない。」 ふざけ半分を本気で返されて、ちょっと傷つく。