泣かない理由

そっと離れていく体温に、名残惜しさを感じた。

(勘違いしてはいけない。)

私は、自分に言い聞かせた。

蒼は、私しか縋るものがないから、今は私しかいないから、頼ってくるだけだ。

これから先、蒼がもっと外にでるようになって、引きこもりが治ったら、その時はきっと、蒼は私を置いていくだろう。

私には、蒼を引き止めるような価値はない。