「風邪引いてるなら、おとなしく家で寝てなよ。」

「…だってー、どうしても氷室さんに会いたかったんですー。氷室さんの顔を一目見てー、そしたらすぐに帰る予定だったんですー。」


そして、だだっ子のようなあたしの言葉に、呆れたように大きなため息をつく。


「会いたかったって…。毎日会ってるじゃない。それに、悪化させて倒れてたら意味ないでしょ。」


諭すように、呆れながらもそう優しく言葉を紡いでくれる氷室さん。

だけどね、確かにその通りなんだけれど。
せめて週5日間くらい、ちゃんと毎日会いたいんです。

それに。


「でも、氷室さんの顔見たら、少し元気になりましたー。」


会えただけで、話せただけで、
やっぱりこんなにも嬉しくて幸せな気分になれる。

気持ちだけだけど、さっきとは打って変わって元気になった気がするのは、本当に嘘じゃないから。