俺は電話を切るなりすぐさま着替え、部屋を飛び出した。
恵里ちゃん、私の顔を見るなり
「カナママ、ごめんね」
って言ってたわよ。
一緒に住んでりゃケンカくらいするだろうけど、あんたは人の話をちゃんと聞かない癖があるんだから。
恵里ちゃんが好きなら、ちゃんと話くらい聞いてやりなさい。
母さんが言ったことが俺に突き刺さった。
思えば俺は言いたいことを言うばかりで、恵里の話を最後まで聞いていない。
つくづく自分が情けない。
チャリをかっ飛ばして駅へと辿り着いた。
駐輪場に乗り捨てるようにチャリを置き、改札の方へとダッシュ。
しかし、時すでに遅し。
地元へ帰るための電車はもう終わってしまっていた。
電車では約2時間。
チャリでは何時間かかるかわからない。
タクシーは金がかかりすぎる。
ちくしょう、帰れない。
俺のせいで恵里が泣いているというのに。



