窓に灯


 胸の痛みとか悔しさとか悲しさで、俺はいつの間にか涙を流していた。

 今ごろ恵里は――……。

 考えると吐きそうだ。

 俺はフラフラとベッドに戻り、恵里の枕を抱き締める。

 とてもじゃないが恵里の代わりにはならない。

 洗わずじまいの食器がテーブルに残っている。

 このままにしておくわけにもいくまい。

 俺はそれを流し台で水に浸け、洗うことはせずに再びベッドに潜った。

 殴られた頬が痛い。

 モヤモヤする。

 イライラする。

 頭をバリバリ掻きむしると、頭皮がヒリヒリした。



 結局この夜、恵里は帰ってこなかった。



 それに気付いたのは、翌朝見事に寝坊をしたからだ。

 起こしてくれるはずの恵里はいない。

 流し台の食器もそのままだった。