窓に灯


 恵里はますます眉間にしわを寄せている。

 決定的だな……。

「し、仕事関係の人だよ」

「ギャルショップなのに、男がいるんだ」

「男だっているよ。この業界は店員だけじゃないんだもん」

 焦った様子が痛々しい。

 俺の胸はリアルに痛い。

 昔からそうだった。

 恵里は小さい頃からしょっちゅう俺の胸を痛めつけてきた。

 一緒に暮らし始めて、やっと穏やかに恵里と過ごせると思っていたのに。

 それでもなお、お前は俺を苦しめるんだな。

「歩、それでね、一つ話さなきゃいけないことが……」

「今は聞きたくねぇ。そういう話は今度にしてくれ」

 俺は頭を抱えて恵理を遮った。

 心の準備ができてないんだ。

「ちょっと待ってよ。歩、もしかしてあたしを疑ってるの?」

「疑ってるっつーか……」

 白状したようなもんだろ、と言いかけた時。

 恵里の携帯が鳴り始めた。