窓に灯


 送信元は俺たちの中学の同級生、相原さんだった。

 恵里にとっては親友とも言える。

「なんだ、相原さんか……」

 爆発した鼓動の余韻を受けながら、俺はそっと携帯を元の位置に戻した。

 今開いてしまっては、着信の知らせが消え、恵里に携帯を覗いたことがバレてしまう。

 チャンスを逃してしまった。

 いや、携帯を覗こうとしたのを、相原さんに咎められたような気がする。

 俺は約半年前、彼女に殴られた時の感覚を思い出した。

 忘れもしない、恵里の誕生日。

 相原さんは突然やってきて、部屋に入るなり俺の胸ぐらを掴んだんだ。

 恵里の浮気を疑い、話も聞かずに別れてしまった俺への怒りの鉄拳。

 平手じゃない。

 拳だ。

 それからというもの、相原さんに対して、少しコンプレックスがある。

 結局俺は、恵里が風呂から出てくる前に眠ってしまっていた。

 この日の夢は、恵里がタバコを吸っている夢だった。