窓に灯


 イイ女。

 だからこそ不安になることがある。

「今度会わせろよ」

「機会があればな」

 本当は誰にも会わせたくない。

 俺だけの恵里でいて欲しい。

 独占欲が強いのは自覚がある。

 高校までは恵里自身にマーキングすることによって多少の安心感を得ていたが、今はそういうわけにもいかない。

 ショップ店員の仕事に支障をきたすからだ。

 いくら俺でも、恵里の夢を邪魔するわけにはいかない。



「西山先生、なんか今日は元気ないですね」

 バイト中、生徒の質問に答えていると、恵里と同じことを言われてしまった。

「そうか?」

「悩みでもあるんですか?」

「ああ、まあね」

「いつも幸せそうな顔してるのに、珍しい」

 幸せそうな顔……か。

 幸せだもんな、俺。

 こんな悩みなんて、さっさと解決してしまいたい。