窓に灯


 恵里の後ろ姿を眺めながらパンをかじる。

 なぜ隠す?

 何でも話せよ。

 納得いかない。

 イライラする。

 恵里のことは何でも知っていたいんだよ……。



 2限の途中で昨日の女たちからメールが来た。

 正直、返信が面倒だ。

「お前、昨日どうしちゃった系?」

 隣で眠そうにしていた原がタイミングを合わせたように聞いてきた。

「系って何だよ……」

「みんなして“歩君は?”って聞いて来てさ。お前ばっかりモテやがって、腹立つ~」

「知るかよ。お前が誘ってきたんだろ」

 そうだけどぉ、とぶつぶつ唇を尖らせる原を無視してガリガリノートを取る。

 すると突然、こんな質問が飛んできた。

「なあ、お前の彼女ってどんな子?」

「……は?」

「幼馴染なんだろ? 写メとかないの?」

「ねぇよ」

 原はまた唇を尖らせて呟く。

「西山のことだし、どうせすげーイイ女なんだろうな」

「ああ、すげーイイ女だよ」