「―――失礼します」 幾つか会話をしていたら、すっと襖が開けられた。 そちらの方に目を向けると、お盆を持った男が一人はいってきた。 「若、お嬢の食事をお持ちしました」 「お、お嬢?!」 「すまないな。賢」 「いえ」 賢は、お盆を俺の隣に置く。 そうだついでにと俺は賢に座るように促す。 「美空」 「………お嬢って何?」 「そのまんまです」 にこりと賢は笑う。美空は自分がお嬢と呼ばれたのが驚いたのか、目を大きくしている。 「そんなことより、こいつは賢。今日からお前につく」