愛の楔




女の顔は、見知らぬどころではなく、俺がよく知る、いつも焦がれていた、


「美、空……?」

「龍さん」


化粧で綺麗に仕上げられた美空の姿だった。


「っどういうことだ!!」


思わず言葉を失うが、すぐに親父に食って掛かる。


「見ての通りだ」


しかし親父は飄々としながら、俺の反応を楽しんでいる。


「っ………中断だ」

「っ龍さ、」


沸々と熱いものが頭に上っていく。俺は、直ぐ様立ち上がると、制止の言葉にも耳を傾けず、自室に引き返した。


何でだ、何で美空がいるっ
奴ら全員知っていたのか、だから何も言わなかった。
何のために美空から離れたと思っている?一体、何のために………!!


「っ」


勢いよく襖を閉め、ズルズルとその場に座り込む。
片膝を立て額を押し付けた。