その日の夜。
俺は、炯の許可を貰い、一人で外に出ていた。一人で出掛けられるのを嫌がっていた炯は、車で行くのを条件に首を縦に振る。まぁつまり運転手が俺の見張り役ということになるのだが。
そして俺は、車で美空のマンション前に来ていた。ひっそりとマンション近くで車を止めさせ、車の中から美空の住んでるだろう辺りを見上げ眺める。
もう久しく美空の顔を見ていない。
美空は、元気にしているだろうか。
本当は今すぐにでも会いたい。
抱き締めたい。
―――でもそれは出来ないから。
明日からは本当にもう一生会うことはなくなるだろうと思う。
「美空………」
でも俺は、お前だけだから。
例え他のやつと夫婦になったとしても、俺の心はお前に向いている。
愛してる、美空。
「………出してくれ」
「はい」
運転手に指示して、俺は、半分だけ開けていた窓を閉めた。


