「…みのり?」
うつむいたまま動かないみのりを浅井が覗き込む。
浅井の呼びかけにようやく顔をあげたみのりの目に涙が浮かんでいた。
「…予約は…
前払いなんだからね?」
そう言うみのりに浅井がニヤリと笑う。
「…そうだな(笑)
じゃあ体で…」
「エッチ!」
目に涙をいっぱいためて顔を赤くするみのりを浅井が笑って…
「行くぞ」
車外へとみのりを連れ出した。
「え…でもあたし制服…」
そのままお店の中に入ろうとした浅井をみのりが止める。
「誰も気にしねぇよ。
…つぅかもう誰に見られたっていいしな(笑)」
その言葉に少し戸惑った後…
みのりも笑顔で頷いた。
キラキラする店内にみのりの制服はやっぱり場違いで…
周りの視線に恥ずかしがるみのりを浅井が楽しそうに見ていた。
どれがいいか決められなくて…
結局浅井が選んだ指輪に決めた。
家までなんて待ちきれなくて
駐車場の車の中で指輪をはめてもらって…
「…これでオレのだな(笑)」
そう意地悪に笑う浅井に
みのりもうれしそうに笑った。
大好きな匂いに包まれながら
何度もキスをして抱きしめあった。
言葉なんかなくても…
抱きしめられた腕から浅井の気持ちが伝わってきた。
『愛してる』
「ずっと一緒にいような…」
浅井の声が甘く響く。
約束だよ…?
ずっと…
ずっとだからね?
いつか書いた窓ガラスの
『LOVE』の文字が
外気との気温差で浮かび上がる。
浅井の背中に回したみのりの指に
プレゼントされた指輪が優しく輝いていた。
『ずっと大好き…
この恋は秘密』
―――fin―――
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