「沙紀さん…
崇さんとうまくいったかなぁ…」
助手席で大人しくしていたみのりが口を開いた。
「あぁ…大丈夫じゃね?
あいついいやつだったし…」
浅井が前を見たまま答える。
少し微笑んだ顔が対向車のライトで照らされる。
その横顔にみのりが見とれていると浅井が口を開いた。
「よし、着いた」
その言葉にみのりが窓の外に視線を移す。
夜の空に一際輝きを放つ外観を持ったその場所は…
「…何?」
「…みのりにはまだ早いな(笑)」
『jewelry』
キレイに彩られたお店にはそう書かれていた。
ジュエリー…?
その響きに…
期待しない女の子はいない…はず。
あたしに…?
いや…
浅井さん何か買い物したいのかも!
ブランド物のキーケースとか…
お財布とか…
香水とかも売ってるし!
みのりが期待してしまう気持ちを必死に押し込めていた時
浅井がゆっくりと話し出した。
「今まで泣かせてばっかでごめんな…
つらい思いばっかさせて…
だけど
もうそんな思いさせないから。
みのりがいつでも笑顔でいられるようにオレがちゃんと守るから…
みのりが…好きなんだ」
浅井がみのりの手を握る。
突然のうれしい言葉に戸惑っているみのりと
真剣な表情をした浅井の視線が交じり合う…
「だから…
ここ…予約させて」
浅井が指さしたのは…
みのりの
左手の薬指―――…
みのりの目が
浅井の指先で止まった…
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