「浅…んっ…あ…」


みのりの声が車の中にこもる。


「…みのり声がエッチ(笑)」


唇を離して笑う浅井を赤い顔をしたみのりが叩く。


胸のあたりを叩くみのりの手をつかみ

浅井が顔を近づけた。


「…もう一回しよっか」


優しく見つめる浅井からみのりが目を逸らす。


「浅井さん…

なんかおかしいですよ?」


「はい、敬語(笑)


…だってずっとこうしたいって思ってたんだ。

みのりと一緒にいたいって…」




その言葉に…

みのりが浅井を見つめる。




その瞳が


悲しみを浮かべていた…




ずっと気になっていた事が…



声になる。





「…じゃあ

なんで『サヨナラ』したの…?」





『サヨナラ』の真意…



なんであの時浅井さんは…




その事がずっと頭にあって…

あたしを苦しめる。




浅井さんが優しければ優しいだけ…

『だったらなんであの時…?』

って…


聞きたくなる。




悲しそうに見つめるみのりを見ている事ができなくて

浅井が節目がちに微笑んだ。



「…今思うと

本当にバカだったと思うけど…


みのりを泣かせてる自分が許せなかったんだ…。


みのりが好きだって気持ちは…
結構前からあったけど…

でもオレといてもつらい思いばっかさせてる気がして…

耐えられなくなった。


あの時は別れる事がおまえのためだって思った」



とてもつらそうに言う浅井に

みのりの中にあの時の感情が蘇る。





『もう…ダメなんだ』


そう言った浅井さんは…

きっと今みたいにつらい顔をしてたのかもしれない…



あたしは泣くばかりで…

浅井さんがどんな顔してたかなんてわからなかったけど…



浅井さんも…


あたしと同じようにつらかったの…?





浅井がみのりを見つめて

悲しそうに笑った。



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