よかった…



もし言ってたら振られてたし…





うん…



そうだよ。





だから…



これでよかったんだ…



これで…





あのまま

浅井さんの後ろに続いて階段を降りた時…




浅井さんの…


タバコの匂いがした…





その匂いが

喉に詰まって…



涙が出そうになった…







浅井さん…





あたし…



浅井さんが




好きでした―――…







好きでした―――…









出てきそうな涙を
咳払いをして止めた。




もう


会えない…




重いペダルを力いっぱい踏んだ。




もう…




会えない―――…





溢れ出した涙が

風で後ろに飛んでいった。



視界が

どんどんぼやけて…


みのりは自転車を止めた。




…浅井さん



あたし




これ以上…






進めないよ…








.