18時からの1日で最後の教習のベルが鳴る。
外に出るともう空は暗かった。
11月ももう終わろうとしている。
…佐倉と会わなくなって3週間目か。
暗くなった空を見ながらふとそんな事を考えていた。
12番車の横に南商業の生徒が立っている事に気づいて…
少しだけ動揺した。
「…手帳貸して」
諦めたように冷静に言う。
…勝手だよな。
オレから別れたくせに
佐倉が会いにきてくれる事を期待してる。
いつも佐倉が追いかけてきてくれたから…
佐倉全部で『好き』って言っててくれたから…
だから不安なんか感じてなかったんだ。
今考えると
いつも佐倉に助けられてた。
ずっと追いかけるのなんてつらいに決まってるのにな…
陰で泣いてる佐倉を知らないふりした。
一緒に居たかったから…
「…浅井さん?」
教習生に呼びかけられて浅井がはっと我に返った。
「あぁ、ごめん。
校内講習3回目な。
とりあえずコースに入って」
そう指示して手帳の表紙に目を移す。
『田崎 里奈』
…里奈
確か佐倉が言ってたのも…
浅井が隣に座る里奈に視線を移した。
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