驚いて言葉がでないみのりに圭司が言う。
「オレ、佐倉が好きだ」
背中から…
圭司の少し早い心臓の振動が響いてくる。
だから…
『冗談やめてよ』
そう言えなかった。
「…浅井の代わりでいいから。
寂しい時に利用してくれればいいから。
だから…」
抱きしめられた圭司の腕に力が入る。
浅井さんの代わり…?
圭司の言葉が何度も頭にリピートされる。
代わりなんて…
「そんなの…
無理だよ」
みのりが口を開いた。
「無理だよ…
浅井さんの代わりなんて…」
あたしが好きなのは
あたしが傍にいたいのは
浅井さんだけ…
代役なんかきかない。
浅井さんじゃなきゃ意味ないの。
浅井さんじゃなきゃ
だめなんだよ…
「ごめんなさい…
今は浅井さんの事しか考えられない」
みのりの言葉を聞いて…
圭司が抱きしめていた腕を緩めた。
「『今は』だろ?
オレにもチャンスはあるよな」
聞き分けのない圭司に少しうんざりして…
自分が浅井に振られたという事も手伝ってか…
みのりが冷たい表情を浮かべた。
「なんであたしにこだわるの?
次いきなよ。
昔の彼女に似てるからって重ねられても迷惑」
気が付いたら…
自分でも信じられないくらい酷い事を
圭司に言っていた。
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