「本当にごめんね…。
あの子…
3年くらい前まではいい子だったのよ。
彼女もいてすごく大切にしてた。
菜々子ちゃんっていってね、とってもいい子だった。
でも…
菜々子ちゃん、高校生の時に亡くなっちゃって…
それからあの子変わっちゃったの…」
初めて聞く圭司の過去に
みのりは驚いた表情を浮かべて店長を見つめていた。
そんなみのりを見て…
店長が悲しそうに微笑む。
「似てるの…。
みのりちゃんに」
体が…
硬直したように動かなかった。
以前
車の中での圭司の強い眼差しが頭に浮かぶ。
あの目は…
自分ではなくて
『菜々子』に向けられていたような気がした。
強く…
恐いくらい真剣な眼差し…
三谷くんが
わざわざ警告しに来たのはこの事を知っていたから…?
圭司くんがまだ『菜々子さん』を想ってる事に気づいていたから?
『圭司くんって軽い人?』
そう聞いたあたしの問いかけに答えずに
『ごめんな』って笑った悲しい顔…
まるでさっきの店長と…
同じ…
もし…
思い出にできてるならあたしに好意なんか持たない気がする…
忘れられないからこそ
あたしに『菜々子さん』を重ねて…?
だけど、そんなの…
考えられない。
いつも明るい圭司くんが…?
でも…
みのりの頭から店長と三谷の悲しそうに微笑む顔が離れない。
嘘をついてる顔には
見えなかった。
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