浅井の部屋は3階の奥から2つ目だった。
ピンポーン…
「いつもは勝手に入るんだけどね、今日は特別」
チャイムを鳴らしながら悟が笑う。
みのりは悟を不安そうな顔で見つめたが
悟は気づいていない様子で、楽しそうに浅井が出てくるのを待っていた。
扉が開くと同時に、中から明るい光が漏れる。
「…いつもは勝手に入るくせになにチャイムなんか…」
顔をあげた浅井とみのりの目が合った。
気まずそうにうつむくみのりを
浅井が事情が飲み込めなくてしばらく見つめて…
「連れてきちゃった!みのりちゃん!
まぁ、立ち話もアレだし中どうぞ」
悟が笑いながらみのりに言う。
「…オレんちだろうが(笑)
佐倉も入れよ」
自分に向けられた浅井の笑顔に安心して
みのりが悟に続いて部屋に入ろうとした時
浅井がみのりの前をふさいだ。
「っつぅか、佐倉来るんなら掃除とかしときたかったんだけど(笑)
…私服初めてだな」
ドアに立ちふさがる浅井との距離が近すぎて
みのりはうつむいたまま答える。
「あ、いつも制服だったから…」
パーティーと聞いていつもは着ないようなワンピースを着てきていたみのりは
急に恥ずかしくなって顔を赤くした。
そんなみのりに微笑みながら
みのりの耳元で浅井が言う。
「いいじゃん。
似合ってる」
悟に聞こえないように小さな声で言った浅井の声が
とても色っぽく聞こえてみのりはますます顔を赤くした。
「玄関先でいちゃいちゃしてないで早く始めようよ~」
中から呼ぶ悟に浅井が軽く舌打ちしてから笑った。
「うるさいから行くか(笑)」
浅井の言葉にみのりは赤い顔で笑ってうなづいた。
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