しー、ユータ。俺は、二人より先を、歩くよ。 そんな気持ちを込めて、暁の日本武道館アンコールの最後の曲に入った。 ベースの太く低い音を出す弦を強く弾く度に ギターよりも広く長いフレッドを動き回る度に 熱く、強く、明るい感情が礼治から溢れ出た。 哀しい恋をしていた礼治はもういない。 恋“哀”はいい意味で終わりを告げたのだった。 そう、大きな夢の第一歩を踏み出すために………。