「こんなの、狡いよ…っ!」 聴き終えた汐の大きな瞳からは、溢れるように涙が流れた。 iPodを一曲リピートにして、何度も、何度もその曲を聴いた。 歌詞カードの、アネモネの歌詞の頁の一番下に書かれた小さな後付け。 『アネモネの花言葉は“儚い恋”そんな想いが痛いほど伝わる、バラードナンバー。』 「こんなの…自惚れちゃうよ、優太さん。」 優太が汐を想い書いた曲。 もちろん汐がその真実を知るよしはない。 しかし、歌詞の『僕』があまりにもあの時最後に見た優太と重なって、汐は堪らなくなった。