「だって、
珠樹は、やっと就職が決まって、
これからの人なんだよ?

会社に入って、
仕事を覚えて、
これから社会に必要とされる人間だよ?

私の存在が、
珠樹の人生の
妨げになる時が
くるかもしれない・・・・」


ダメ・・・
もう、考えるだけで、
苦しくなる。


「じゃぁ、
市居珠樹と・・・
別れるの?・・・」


え?!

別れる?・・・


「・・・・イヤ・・・
そんなコト
考えられない・・・」


駄々っ子のように
首をフルフルと
振ってしまう。


「実?
市居珠樹にとって、
実が、
将来の妨げになるなんて、
そんな悲しいコト、
考えないでよ?

私、市居珠樹に
言ったことあるの…

実の過去も、
今も、未来も
全部
受け止められなければ、

実を
渡せないから!
って・・・」


「美耶子・・・・」


顔を上げて、
じっと美耶子を見た。


「だーいじょうぶよっ!
アイツ、
実が思ってるより、
ちゃーんと、
『男』よ」


ウインクして、
笑顔を私に向ける美耶子。

「うん・・・・」


「ねー、
せっかくの
ケーキとお茶が
まずくなるから、
早くたべよっ


最近、痩せたでしょ?
それに顔色良くないわよ

ちゃんと食べて
変なこと
考えないように
しなさいよ!」

いつの間にか
運ばれてたのに、
気付かなかった・・・


「うん・・・・
心配かけて
ゴメン…
やっぱり、
美耶子に言ってよかった・・・」


でしょ?
と、ケーキを食べながら
とびきりの笑顔を
私に向けた美耶子

やっぱり、
頼もしい。