【実 side】

月日が過ぎて

  3月 ――――――


珠樹の大学の卒業式を2週間後に控えた週末の今日。


珠樹の大学の仲間と、
美耶子、珠樹のホスト仲間カナタくんが、

うちのマンションに集まり、
卒業パーティ、なるものをやる、
と2日前に珠樹から聞かされた。


それで、
今日は、私が美耶子と買い出しに
出掛けるところだった。


「じゃぁ、美耶子と買い出し行ってくるね」


「一緒に行けなくてゴメン、実」


珠樹は、内定した会社からの招集で、
一日、いない。
帰ってくるのは、17:00過ぎになるそう。


「大丈夫、美耶子が車で迎えに来てくれるし、
荷物も、重いもの持たないから」


腕の骨折も、少しずつよくなってきたけど、
無理は禁物。


「あぁ、気をつけてな」


「珠樹こそ、遅れないようにね。」


玄関で、
ホストの時のスーツとは違う、

サラリーマンが着る、
今時のスーツを着てる
珠樹を送り出す。


「実っ」


私の顔に近づき、
珠樹の唇が私の唇に触れる。


「いってきます」


笑顔で手を振り玄関を出る。


「行ってらっしゃい」


なんだか、
新婚さんみたい・・・・


不思議と顔が緩んでしまった。