「どうゆうつもりで、俺の彼女にあんなことしたんだよっ!」
何人かいたお客が振り返るほど、大きな声を出した。
「そんな大きな声出さないでよっ、」
歪んだ顔と、
鋭くなった目つきで俺を睨んだ。
俺が覚えてる希の面影など、微塵もない・・・
こんな顔、一度も見たことがなかった・・・
コイツ、
本当に、希なのか?
しばらく沈黙し…
「希・・・俺・・「悔しかったのよ・・・・」」
俺の言葉を遮るように、
希が小さく、呟いた。
「え?!・・・」
俯いた、
希の顔をじっと見る。
「・・・彼女と一緒に並んで幸せそうにしてる姿を見て悔しくて・・・・
それに、
私より年上で、
飛びきりキレイなワケでもなくて、
何の取り柄もなさそうな彼女が、
幸せそうに笑ってるのが許せなかった!・・・
なんで、私だけ・・・」
俯いてる肩が、
震えている。
聞いていれば、
俺の実をコケにするような腹の立つようなコトばかりだったけど、
また、怒りを露わにすれば、
希は、自分のしたことを、否定してしまうかもしれない・・・
「希・・・
過去のことを言われるのは、
お前にとっては辛いことだろうけど、
俺はあの時、
お前を支えられなかった、力になれなかった。
そのことは、本当に申し訳ないって思ってる」
俺は、テーブルに頭を擦りつけるようにして、
希に頭を下げた。

