「ちょ、実? 一体どうしたんだよ? 実? 実?」


嗚咽が止まらない私の顔を覗きこみ、私の名を呼ぶ。


「実っ! いいかげん怒るよっ!」


彼の声に、ビクリと肩を震わせて、恐る恐る、彼を見上げた。


怒った彼を想像していたけど、


それとは違い、


私の瞳に映る彼は、愛おしげに優しい眼差しを向けていた。


「実、何かあったんだろ?、ちゃんと話そ? 実のココにあるもの、ちゃんと吐きだせよ」


そう言って、私の胸の真ん中を指差した。


ホント、これじゃぁ、どっちが年上だか、わかんないね・・・


伝った頬の涙を拭い、敷いてあった蒲団の上に向かい合って座った。


「珠樹・・・聞いていい?」


「うん、何?」
 

「さっきの彼女・・・・前に言ってた彼女?」


予想はしていたの。


傷ついた彼女の力になれなくて、それから、誰かを好きになることを避けていた彼。


嫌いになって別れたんじゃなかった、元カノ・・・・


「さっきのって・・・・っ、見てたのか?実?」


頷いて、彼を見る。


「ゴメンな、不安にさせただろ?」


私の頬を片手で包み、優しい瞳で私を包む。