こちらからは、 私の姿は見えない じっと目を凝らし 様子を窺ってみる 2人の声は聞こえない だけど、 こちらから見える彼女の表情は、少し悲しげで 涙が今にも零れそう… 「……っ…」 漏れる声をひたすら隠そうと口を両手で覆うしかなかった… 彼女が、 珠樹の胸の中に飛び込んだから… 一歩一歩、 後退りして 踵を返し、 あとは、その場を離れたくて 必死になって 廊下を進んだ。