チェックインを済ませて、私の元に戻ってくると、
いつもの笑顔で、私の手を取ってくれる。
さっきのは、気のせいだよね?
私の思いすごし・・・
だよね?・・・・・
「ね、実、さっきフロントの人に聞いたけど、ココ、露天風呂があるらしいぜ、あとで行こうな」
荷物を乗せたカートを引く仲居さんの後ろを二人でついていきながら、彼が私に話しかける。
「あ、う、うん・・・行こうね」
「実? どうかした?」
繋いだ私の手を、指を絡ませるように握り直し、ギュッと握った。
「ううん、何でもないよ、お風呂楽しみだねっ」
心の不安をかき消そうと、
彼に笑顔を向けた。