【珠樹side】


「実からも、言ってほしいな・・・」


仕事を終えてビルから出て俺の元へ駆け寄る彼女を


腕の中に包み、『愛してる』と伝えたのも束の間、


俺は、彼女の口からも聞きたい衝動に駆られ、


腕の中の彼女に催促した。


少し、頬を染めて、俺のスーツの胸元をギュッと掴み、


背伸びをし、俺の顔の近くに彼女の横顔が、


「愛してるわ ずっと前から」


そう俺の耳元に囁いた。


ヤバいな、ホントに彼女の全てにハマりそうだよ。


彼女の頬に伝う涙が見え、俺の手で拭うと、


また、包むように抱きしめた。