「今度の金曜日?」


キッチンで、私の分も一緒に夕食を作ってくれている市居くんが私に尋ねた。


「そう、実さん、仕事復帰してると思うけど、その日貸し切りだし、
少しだけでも、店寄ってもらえると、嬉しいんだけど・・・」


カウンターから顔を覗き、優しく笑みを浮かべた。


あー、私、この笑顔を好きなんだろうな・・・
少し、彼の顔を見つめてしまった。


「ダメかなぁー?」


今度の金曜日、市居くんの誕生日パーティーがお店で行われるそうで、


そのパーティーに私を招待してくれるらしい。


「お店に行ったことない私が行ってもいいの?」


この年で、ホストクラブさえ行ったことのない私は、
少し、不安になってじっと考えた。


「あ、一人で来るの不安だったら、
木村先生と一緒に来てよ」


私の不安を読み取ったのか、
ニコリと笑って、パープルに金の縁取りがされた封筒を私にくれた。


それを受け取り、


「うん、わかった。美耶子と行くわ」


勝手に行くことを決めたけど、


美耶子は付き合ってくれる・・・よね・・・