「・・・君、実は、大丈夫なのか?」
実さんを抱えていた腕を、少し掴み、その彼氏は問いかけた。
「えぇ、大丈夫のようです。
昨日まで、入院していたから、まだ、体が慣れてないんだと思います。」
「そうか・・・・」
抱き上げた、実さんは、以前より、かなり軽くなっていた。
なんで、こんななるまで・・・・
眠ってはいるけど、腕の中で俺に全てを任せている実さんが、素直に愛しいと思った。
実さんをベッドに寝かせて、リビングへ戻ると
その彼氏は、ソファーに座り、頭を抱えていた。
「・・・あの・・・?」
俺の声に頭を上げ、
「失礼だが、君が例の同居人・・・かい?」
心なしか、曇った表情で俺に問いかける。
「あ、はい、そう・・・ですが・・・」
大きな溜め息を吐き、目線を落とした。
「・・・君は・・・・実が・・・好き・・なのか?」
頭を上げないまま、鋭い目線だけ、リビングに立つ俺に向けられた。
「・・・・・・はい」
俺の返事を聞くと、
ソファーから立ちあがり、この部屋を出て行った。
迷うことなく返事をした俺。
先日、木村先生から実さんの過去の全てを聞いた。
過去の実さんも今の実さんも全て受け止められないなら部屋を去れ、と言われたが、
俺は全てを受け入れると決めた。
大切なものを失いたくないんだ。

