すると、
私のソファーの横に、悠二が座り、
肩を掴み、悠二の方に私を向かせた。
「実、俺は、今でも実を愛してる、
朱美と結婚する時、俺には会社を興した時の借金があった。
それを、朱美の親父さんが、肩代わりする代わりに、
俺が、親父さんの会社を継ぐことが条件だった。
だけど、次第に
朱美との仲も冷え切ってきて、
朱美が浮気をした。
そんなとき、実に会った。
俺を一身に愛してくれる実が、愛おしくて堪らなかった。」
私の目を離さず、言う悠二。
私を掴む肩に力が入る。
「だけどっ!
奥さんは、悠二とは別れないわ!
私だって、もうこれ以上、傷つきたくないの!
奥さんの影に、怯えて過ごすのはイヤなのっ!
・・・ツライのよ・・・
私・・もう・・・一緒にいられない・・・」
堪えていた涙が頬を止めどなく流れる。
「実っ! いつか、必ず、朱美とは別れる!
だからっ、「もう、ダメだよ・・・悠二・・・私・・・」」
堰を切ったように、涙がどんどん流れる。
「実っ!」
悠二がきつく私を抱きしめる
「ダメっ」
両手で悠二の胸を押す、だけど、
悠二の腕力には敵わない。
「ダメよっ! ダメっ イヤっ」
必死に抵抗するが、病み上がりのため、力が入らない。
そのうちに、息が苦しくなり、酸素が体に入ってこなくなった。
「実っ、実っ」
体の力が抜け、それに気付いた悠二が私の名前を呼ぶ、
そして、もう一人・・・
リビングの私たちの異変に気付いた彼が、
自室から駆け寄って、私の名前を呼んだ時、
私の意識が遠くなった。

