コトン
テーブルにカップを置き、悠二の向かいに座った。
「実、桜井さんから、朱美のこと聞いた。
ヤな思いさせてすまなかった。」
私の目の前で、頭を下げる悠二。
「・・・ビックリしたわ、いきなり来るんだもの・・・
でも、もう・・・済んだことだし・・・
ただ・・・・」
頭を上げ、私を見つめる。
「別れられない理由って、何・・・・?」
「・・・・・・」
私を見つめ、何も答えない悠二。
「私は、悠二と一緒に居られればイイって思ってた。
前に、結婚に失敗しちゃってるから、
別に、しなくてもイイって思ってた。
私も悠二を愛して、悠二も私を愛してくれて、
いつか、奥さんと別れてくれるって信じてた。
だけど・・・・
結局は、悠二は、奥さんも子供も捨てられないじゃない!
理由が何かはわからないけど、
私だけの悠二じゃないんだもの!」
膝の上に置いた両手を折れそうなほど、握りしめ俯いた。
悔しさに、唇をギュッと噛み、
目から涙が零れそうなのを必死に堪えた。

