私たちに気付いた悠二は、
後ろにいた市居君に目をやった後、
私に目線を移した。
「実、大丈夫か?」
「う、うん・・・悠二こそ、どうしたの?」
「桜井さんに聞いてな・・・・」
「そう・・・ゆう「なぁ、話そう、実・・・」」
ここに、悠二が来たということは、
奥さんの件を話に来たということもあると思う。
ちょうど、イイ機会なのかもしれない。
「わかったわ、今、開けるから」
バッグから、玄関のカギを出し、
扉を開けた。
「あ、俺、もう行きますね」
私たちを察して、市居君が踵を返そうとした。
その時、私は、彼のシャツの裾を引っ張った。
「み、みの・り、さん・・・・?」

