「実さん、おはよー」
初冬の時期のせいか、少し身を縮ませた彼の吐く息が少し白かった。
「もー、朝っぱらから、何なのよー、若いのに他にどこか行くとこないのっ?」
思ってもみない訪問者に、少し冷たくあたった。
「ちぇっ、冷てぇナァ、実さんに会いに来たのにさー」
そんなことお構いなしに、私に近づき、顔を覗く。
「あれっ? 実さん、目、腫れてない?」
近づかれると、やはりわかってしまうようだ。
「寝不足なのっ!」
「ふぅん・・・・」
じっと、私の顔を見つめる。
「ま、いいや、実さん、寒いから、早く部屋入れてよっ!」
「え?!」
「だって、俺、珠樹にも用あるしっ」
早く、早くと背中を押され、
マンションのエントランスに入った。

