「実・・・スマン・・・」



いつも頭など下げない桜井さんが、
私に頭を下げた・・・



「えっ!?・・・いきなり何?! 頭上げてよ、桜井さん!」



ゆっくりと頭を上げた桜井さんは、
申し訳なさそうな表情。



「実、アイツに・・・
朱美に会ったんだろ?」



「・・・っ!なんでっ!
なんで知ってるの?!」



持っていたペットボトルを握りしめ、桜井さんに
詰め寄った。



「2週間くらい前かな、
俺のとこに朱美から電話があったんだ・・・
悠二の居場所を教えろって・・・
もちろん、俺は、
知らないって、言い通した。
だが、アイツのことだから、興信所でも使って調べるだろうと思ってたんだ・・・
やっぱり、調べたんだな・・・何か、言われたか?」



「・・・悠二と別れろって・・・
それに・・・
私の過去までも調べられた・・・」



思いだしても悔しくて堪らない。
どこの興信所か知らないけど、
封書の書類は、
事実が曲げられてあるし、
私に対して不都合なことばかりだった。



「・・・・っ!
そうなのか・・・・
・・・スマン・・・実・・・
俺が、悠二とお前を引き合わせたばっかりに・・・」



「桜井さん・・・
桜井さんのせいじゃないわ、
桜井さんが間にいなくても、
私と悠二は、どこかで出会って
愛し合う運命になってると思うの・・・

気にしないで、桜井さん」



「・・・スマン、本当にスマン、実」



またも頭を下げた。