「いたっ……」


昨日ベッドに入ったのは21時前だったのに。

結局一晩中うとうとする事しか出来なかったあたしの頭を、頭痛が襲っていた。


頭痛の原因は睡眠不足じゃなくて……多分、泣きすぎたせい。

それでも、夜中に一度起きて濡れタオルで目元を冷やしながら横になっていたおかげで、目の腫れはそこまで目立たなかった。


鞄の中から頭痛止めの薬を手にとって……、昨日から何も食べてない事に気付いてその手を止めた。


『何かしらお腹に入れてからじゃないと胃に悪いから』

小さい頃からお母さんに言われていた言葉が頭をよぎって……。

また滲みそうになった目をぎゅっと瞑ってから一つ息を吐く。


ケータイを開くと、デジタル時計が6時58分を示していた。

もうご飯来るし、ちょっとだけ食べようかな……。


本当はあまり食欲はないけど、容赦なく襲ってくる頭痛をとりあえずどうにかしたくて、だるい身体を食堂に向かわせる。

長い間泣いていたせいか、身体が熱を持ったように熱い。



食堂に入ると、すでに運ばれていた朝食が二膳、テーブルの上に置いてあった。

いつものように矢野のご飯は山盛りで。

そんな事に少し頬が緩む。

中村さん、よっぽど矢野が気に入ってるんだな。


小さく笑みを零しながら、冷蔵庫から2リットルのペットボトルを取り出してコップにつぐ。