「……―――」


そこにあったのは……、2つのテディベア。

窮屈そうに座るテディベアに、あたしは声を失う。


だって……

だって、これ―――……


「去年……、渡すの忘れてて、そのままになってたから」


気まずそうに言うお父さんに、あたしはまだ声が出なくて。

なのに涙だけが込み上げてきて、喉に溜まる。


ぐっと瞼を熱くする涙を堪えながら見つめる先で、お父さんは小さく笑った。


「実姫……色々悩ませてばかりで本当にすまないと思ってる。

出来そこないの親で、ごめんな……」


お父さんの言葉に、あたしはテディベアの入ってる紙袋をギュッと抱き締めて首を振った。


そして、くしゃくしゃになるくらい強く抱き締めた紙袋に顔を埋めるようにして、浮かんできた涙を隠した。


「プレゼントって言っても、本当にバカの一つ覚えで……他に欲しいものがあるなら……」

「……いい。

……これがいい」


振り絞った声は、やっぱり涙声だった。

顔をあげられずにそれだけ言ったあたしに、お父さんは優しい声で返事をした。