「……無理だよ」
「無理も何もねぇだろ。口開けるだけだし」
「ダメだよっ……だって、バレたら先生はっ……」
「そんな事聞いてねぇよ。
俺が聞きたいのは、おまえの気持ち。
……もちろん、下手な嘘じゃない方の、本当のな」
「……っ」
先生の言葉に、あたしは肩を竦めた。
だって……、下手な嘘って……
そんな言い方、まるであたしが言った事が嘘だって気付いてるみたいで……。
先生の部屋に、レースのカーテン越しに朝日が差し込む。
その光を背にするようにして立つ先生。
キラキラして眩しい姿に、あたしは目を逸らした。
見つめていたら、本当に嘘がバレてしまう気がして。
……でも。
「清水と付き合うって嘘に、騙されてやろうかと思った。……最初はな」
「……―――」
「おまえが出した結論は、正しいものだって思ったから……。
俺もそれに従おうと思った」
ゆっくりと視線を上げると、そこにはあたしをじっと見つめたままの先生がいて。
あたしは射抜かれたように、目を奪われた。
目を、
心を、
逸らす事なんて、出来ないほどに。



