甘い魔法―先生とあたしの恋―



このまま

気持ちに嘘をついたまま、部屋に入って。


明日から、先生の気持ちなんか知らない振りして。


忘れた振りして……


『生徒』を演じて。


そうしなくちゃ。



そう、しなくちゃ―――……



ドアノブにかけた手を、ぎゅっと握り締めて、唇を噛み締める。

目に浮かぶ涙。

小さく震える手。


……そんなあたしに、先生が気付かないハズがなかった。


「……なに泣いてんだよ」

「……っ」


ドアノブにかけていた手を、先生がその上から握る。

それでも顔を上げられないあたしに、先生が聞く。


返事なんかできないような事を。


「市川……おまえの気持ちは、もう俺にはないんだよな?」


先生の確認するような質問に……、あたしは頷かなかった。

……頷けなかった。


「答えろよ」

「……っ」


真剣な声で聞く先生に、溜まっていた涙が一粒雫になって床へと落ちた。

それに気付いた先生が、握る手に力を込めて―――……


「……―――っ?!」


あたしの手を強引に引いて、自分の部屋に連れ込んだ。